産経国際書会

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もとは背中を表わした…「北」

 地球ちきゅうには、「ひがし」「西にし」「みなみ」「きた」という方位ほうがくがあります。今回こんかいは、「北」という文字もじかんがえましょう。

 左上ひだりうえ金文きんぶんると、ひと)が二人ふたり、おたがいにそっぽをいて、背中せなかわせにっていますね。じつは「北」は、もともと背中やうしろをあらわす文字でした。

 南がわ太陽たいようひかりあかるくてものがよく見えます。聖人せいじんは南に対面たいめんして天下てんかおさめるもの、とする(うらない)の考えから、古来こらいの王は、儀式ぎしきおこなうとき、南向きにすわりました。南向きに座った王の背中は北向きになり、王が背中を向ける方向ほうこうが、方位の「北」になったのです。

 のちに、方位の「北」と区別くべつするため、「北」に「月」(にくづき)をけ、「背」という文字がられました。「南」はよう、「北」はいんという考えは、はか集落しゅうらくの北に作り、いえてるときに玄関げんかんを南向きにすることにもつながっているようです。

(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)