産経国際書会

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もとは南方の人が使った太鼓…「南」

 前回ぜんかいの「きた」につづき、今回こんかいは「みなみ」という文字もじかんがえます。

 左上ひだりうえ甲骨こうこつ文字をてください。は、どうつくられたそこのない太鼓たいこよこから見たかたちで、太鼓の四方しほうみみをつけてひもとおし()、えだ)にるした形をあらわした象形しょうけい文字です。

 はるになって農作業のうさぎょうはじめるとき、またあまごいや祖先そせん祭祀さいしおこなう時は、太鼓をらし、そのおと精霊せいれいかみ)にとどくようねがって、青銅せいどうの太鼓がつくられました。まさにせいなる楽器がっきで、その太鼓のことを「なん」といました。

 「南」を使っていたのは、いんみやこから見ると南の方角ほうがくにあたる苗族びょうぞく人々ひとびとで、南人なんじんと呼ばれ、楽器「南」は、南人の象徴しょうちょうでもありました。

 やがて、「南」は、方位の「南」を表わすようになったのです。

 いまでも東南とうなんアジアのある地方ちほうでは、この銅鼓を楽器として使用しようしているところがあるようです。

(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)