2017年10月 1日
もとは背中を表わした...「北」
地球には、「東」「西」「南」「北」という方位があります。今回は、「北」という文字を考えましょう。左上の金文を見ると、人()が二人、お互いにそっぽを向いて、背中合わせに立っていますね。実は「北」は、もともと背中や後ろを表わす文字でした。
南側は太陽の光が明るくてものがよく見えます。聖人は南に対面して天下を治めるもの、とする卦(うらない)の考えから、古来の王は、儀式を執り行うとき、南向きに座りました。南向きに座った王の背中は北向きになり、王が背中を向ける方向が、方位の「北」になったのです。
のちに、方位の「北」と区別するため、「北」に「月」(にくづき)を付け、「背」という文字が作られました。「南」は陽、「北」は陰という考えは、墓を集落の北に作り、家を建てるときに玄関を南向きにすることにもつながっているようです。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)
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