産経国際書会

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すべての神意にかなう…「善」

 思索しさくあきうつくしい紅葉こうようながら、物思ものおもいにふけるのもいいですね。 今回こんかい人間にんげんにとって普遍的ふへんてき理想りそう価値かちとされる「しんぜん」のひとつ、「善」についておはなしします。

 「善」はうえ篆文てんぶんをみてわかるとおり、正字せいじは「ぜん」ときました。「ひつじ」と「きょう」からった文字もじで、「羊」は、神判しんぱんに用いる神羊しんようのこと。「誩」は、両言りょうげん。神判に立つ原告げんこく被告ひこくあらわしています。「羊神判」は、両者りょうしゃ誓約せいやくをしたうえで、それぞれが提供ていきょうした羊をけ、その反応はんのうによって判断はんだんするもの。敗訴はいそしたがわは、犠牲ぎせいの羊とともに皮袋かわぶくろに入れられ、かわながさされるという厳格げんかくなものでした。「善」はもとは裁判用語さいばんようごであり、のちに、すべての神意しんいにかなうことを善とうようになりました。

 「善行ぜんこう」「慈善じぜん」「最善さいぜん」のように用い、とく究極きゅうきょくとされます。論語ろんごには、「美は善をくすことによって完成かんせいされる」とあります。

(産経国際書会常務理事、山本晴城)