2018年2月18日
農具を清める儀式から生まれた...「静」
いつの時代でも、農業は、天候と虫の害が収穫に大きな影響を与えます。春を迎え畑仕事が始められるころ、殺虫剤も化学肥料もない古代の人々はどう対応していたのでしょう。左上の金文を見てみましょう。右側は、大切なものを保管する神の倉庫から取り出された農具(耜=すき)「」の上下を両手「」「」に持ったかたちです。左側は、井戸から掘りだされた鉱物で、顔料(絵の具)として使われた青丹「」で、この青丹を耜に塗って清めたことを示しています。青丹は虫害を避けると言われ、農具に塗ることで豊作を神に祈ったのです。
「静」という文字は、青丹で耜を清め祓う儀式を表わす文字だったのです。儀式によって穀物の収穫が「安らか」であることを願ったので、「しずか」の意味にもなりました。
心が安らかだと気持ちも豊かになり、楽しいことがたくさん浮かんで来ますね。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)
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