2018年3月 4日
あらい刺繡を加えた布...「希」
「希」は「稀」が本字で、現在では「希」として略して使用されています。「希」は「爻」と「巾」とを合わせてできた文字。「巾」は布のきれ、「爻」は糸が交互している形です。左の篆書はそれをよく表しています。音はチ。衣を紩(ちっ)する(縫う)ことで、糸・針を用いて布に刺繡することを言います。
「稀」は「疏(疎)」と同じ意味で、粗い目の刺繡を加えた布から、「粗い」「少ない」「まばら」の意味になり、「祈」に通じて「望み」「求める」という意味になりました。熟語に希少、希求、希世があり、国名でギリシャは、「希臘」という漢字をあてています。
(産経国際書会副理事長、髙橋照弘)
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