2018年11月25日
征服され奴隷にされた異部族...「民」
「民」(みん)は、訓読みでは「たみ」と読み、国民や一般の人のことをいいます。実はこの文字は、恐ろしい成り立ちを持っているのです。左の金文をみるとは、目()と針()からできているのがわかります。これは、一方の目に針を刺して機能を失わせた状態を表していて、見るだけでも激痛を感じます。「民」とは、古代に征服された異部族が、その印として目の機能を奪われ、神に捧げる犠牲にされたり、奴隷にされた人々を指す言葉でした。目の機能を奪ったのは、区別をつけるためと、逃亡を防ぐためとも言われています。また、楽士など神に仕える者は盲目にされる風習がありました。家来を指す「臣」も、神へ献ずる意味を持っています。
その後、奴隷の意味が敷衍されて、皇帝の支配下に入った人々のことを指すようになりました。
今は「民主主義」「主権在民」の世の中です。かつて奴隷であった「民」が国の「主」になったのです。その意味と責任をよく考えて、大人になる勉強をしましょうね。
(産経国際書会副理事長、髙橋照弘)
前の記事 : 弓の矢を放つ瞬間...「射」
次の記事 : 土をつかんで動かない...「根」