神秘的な意味合いを含む...「呼」

　「呼」を分解(ぶんかい)すると、「口(くち)」と「乎（こ）」に分(わ)かれます。「口」は「声(こえ)を出(だ)す」「名(な)づける」「息(いき)を吐(は)く」などの意味(いみ)が含(ふく)まれます。一方(いっぽ)「乎」は、左(ひだり)の金文(きんぶん)をみるとわかるように、鳴子（なるこ：音(おと)を出す道具(どうぐ)）の板(いた)の形(かたち)を表(あらわ)し、神様(かみさま)を呼(よ)ぶために使われました。また、胸(むね)から上(うえ)へ上(あ)がってきた息を表す文字(もじ)とされています。
　「体(からだ)から声を出して叫(さけ)ぶ」という意味ですが、以上(いじょう)のような成(な)り立(た)ちから神秘的(しんぴてき)な意味合(あ)いがあり、「呼応(こおう)」（呼びかけに応(こた)えること）、「呼称(こしょう)」（名をつけて呼ぶこと）、「呼吸(こきゅう)」（息を吸(す)ったり吐いたりすること）などと使(つか)います。
　書道(しょどう)では、先生(せんせい)の技術(ぎじゅつ)を学(まな)ぶだけでなく、「『呼吸』を感(かん)じることが大切(たいせつ)」とよく言(い)われます。あなたも思(おも)いを込(こ)めて書(か)くと、良(よ)い字が書けるかもしれませんよ。
（産経国際書会評議員、鈴木暁昇）