2019年4月 7日
もとは小さな赤い果実のこと...「桜」
春は多くの草花が芽を吹き、暖かく優しい太陽のもとで花を咲かせ、目を楽しませてくれます。先月の開花から、皆さんを楽しませてくれた桜は、いま東北が見ごろ。今回の文字はその「桜」です。
「桜」は、左の篆書をみてわかるように、古くは「櫻」と書き、意味を表す「木」と、音を表す「嬰」から出来ています。「嬰」には、小さい、という意味があり、産まれてまもない子供を「嬰児」と呼びます。
実は、「桜」は日本と中国では違う植物を指します。中国では果樹の「ユスラウメ」のことで、サクランボに似た赤い小さな実をつけます。つまり、「桜」とは実から付けられた名前だったのです。
それが日本ではいつの間にか、みなさんお馴染みのサクラの漢字として使われるようになりました。
もっともポピュラーなソメイヨシノは、江戸末期から明治初期に品種改良で作られた桜で、今では中国からも大勢の観光客が花見目当てに訪れています。
(産経国際書会副理事長、髙橋照弘)
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