2019年4月28日
人に隠して知られない...「密」
5月1日に、皇太子殿下が即位され、新たな「令和」の時代が始まります。ご即位に伴い、様々な儀式が行われますが、中には一般の目には触れることのない秘密の儀式もあります。そこで今日は、「密」を取り上げます。
左の篆書でわかるように、「密」は、「宀」「必」「山」で構成されます。「宀」(いえ)と「必」(隙間がない)を合わせた「宓」は、家の戸をぴたりと閉じることを意味します。そこに「山」が加わり、人を近づけない山奥に隠す意味になりました。
また、「密」のもとの字は「秘」であったとされ、「必」は、兵器の「戈」や「矛」、「鉞」の頭部を柄に装着する部分の形で、先祖の霊を祭る廟(宀)の中に戈を置き、それを火で熱して清める形とも言われます。厳重に隠され、執り行われた儀式だったのです。
「密談」「密閉」などのほか、隙間がないという意味から、「密集」「親密」などと使います。
(産経国際書会常務理事、山本晴城)
前の記事 : 行事などが行われる場所の意味もある...「庭」
次の記事 : ひざまずきお告げを受ける...「令」