2019年5月26日
神器の上に浮かび上がった神の姿...「容」
顔立ちや姿が美しいことを容姿端麗と言います。「容」は、左の篆書を見るとわかるように、祖先をまつる廟の屋根の形「宀」と、願い事を書いた祝詞を入れる器「」の上に、かすかに現れた神の姿「」をあわらした会意文字で、「すがた」「かたち」「ようす」の意味から、「ゆるす」「いれる」の意味にも使われ、容赦、容認、容量、容疑などの言葉ができました。廟に入って祈るため、身を清め沐浴する「浴」、霊の姿が現れることを強く願う意味の「欲」、お姿が現れることで福を授かることを「裕」と言います。この三字に使われている「谷」は、「容」の「谷」と系統が同じで、祈りに関する「」の文字分類に入ると言われます。
左右の山が迫りできる「谷」は「山谷()」の意味で、容の「谷」とは区別されます。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)
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