2019年8月 4日
軍隊が戻って祖廟に報告する...「帰」
夏休み。お盆にあわせて帰省する人も多いですね。そこで今日は「帰」を取り上げます。「帰」の旧字は「歸」。「」+「止」+「帚」の会意文字です。
上の金文を見てください。は祭肉、は茅を束ねた帚(束茅)です。昔は軍が出発するとき、束茅に酒をふりそそぎ、祖廟(先祖を祭る祭壇)を清め、祭肉(脤)を供え、無事の帰還を祈って、その祭肉を携えて出発しました。
事が終わり、軍が凱旋すると携えた祭肉を再び祖廟に奉り、帰還を報告する「帰脤の礼」が行われ、これが「帰」のもとの意味でした。のちに一般的な「もどる」「かえる」の意味になったのです。
「帰」には「女性が嫁ぐ」意味もあります。「帚」に女偏がつく「婦」は、家廟に奉仕する婦人のことで、結婚でその家の人になることは、「廟にもどる」ことを意味しました。「帚」に手偏をつけた「掃」も、もとは祭壇を酒で清め神を迎えることで、いずれも廟礼に深く関わる言葉でした。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)
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