2019年8月25日
鼻の働きの良い犬から...「臭」
常用漢字とは、一般の社会生活において、「現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」として内閣から告示された文字で、学校で学ぶのはすべてこの常用漢字です。ただ、略字も多く、文字の成り立ちから離れてしまったものも少なくありません。「臭」もその一つです。「臭」は旧字では「」と書き、上の甲骨文字をみてわかるように「自()」と「犬()」を組み合わせてできた文字です。「」は、人の鼻を描いた象形文字で、「私は」「自分は」と言う時に、自分の鼻を指さすことから「自」が自分を表すようになりました。本来は「鼻」の意味で、「」は、「鼻の働きのよい犬」、そこから転じて「臭いをかぐ」「におい」の意味になりました。
同じ意味で、「嗅」という文字が使われましたが、「臭」が「におい」という名詞になり、「嗅」が「かぐ」という動詞になりました。「嗅」の旁には「犬」がちゃんと残っていますね。
(産経国際書会常務理事、山本晴城)
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