2019年9月15日
北向きの窓から炊煙が昇る...「尚」
猛暑が去って、涼しい風が感じられるようになりました。涼風は疲れを癒し、趣味に向かう新たな力が生まれてきます。そこで、今日は「尚」という字を取り上げます。趣味などが上品な「高尚」、尊ぶ「好尚」などと使いますね。「尚」は、左の金文をみてわかるように、「八」と「向」からできた会意文字です。北向きの高窓から炊煙が昇ることを表します。
「向」は、北側の高い窓で、「八」が炊煙の追い出し口です。冬になると、寒さを防ぐために窓をふさぎ、暖を取ります。空気の追い出し口から煙の出る様子から、「上」「揚がる」「高い」などの意味となったのです。
(産経国際書会副理事長、髙橋照弘)
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