2019年10月27日
道を行き財貨を手に入れる...「得」
人には得手・不得手があります。そこで今回は「得」を考えてみました。上の甲骨文字は、「」(道路の省略形で道のわかれるところ)、「」(子安貝の形。南方の海でしか手に入らない貴重な貝で、古代ではお金として使われていた)、「」(手のこと。「又」「寸」とも書く)から成り、「彳」+「貝」+「又」の会意文字です。道を行き、財貨のあるところでそれを手に入れて持つことを「得」と言ったのです。手に入れる、という意味から、「得点」「所得」「獲得」、ものごとを身につける手段として、「会得」「体得」「修得」、事情を理解する「納得」「得心」、自信があり心にかなう「得意」などと使われるようになりました。
一つの事を行い、同時に二つの利益を得る「一挙両得」は、一石二鳥とも言いますが、自分の行為の報いを自身で受ける「自業自得」にはなりませんように!
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)
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