2019年11月10日

病気を治す草...「薬」

20191107_kanji_01.png  漢字(かんじ)一文字(いちもじ)一文字には、先人(せんじん)たちのどんな(おも)いが込められているのか。成り立ちを探ることはとても楽しいですね。今回(こんかい)の漢字は「(くすり)」を()()げます。
 「薬」という文字は、(くさ)かんむりの(した)に「(らく)」と()きます。(むかし)は、(むら)にシャーマンと()ばれる、神様(かみさま)精霊(せいれい)交信(こうしん)する能力(のうりょく)()つとされる(ひと)がいて、(すず)などを()って(じゃ)霊を(はら)病人(びょうにん)(なお)すことができるとされていました。(きよ)らかな鈴の()には病()を祓う(ちから)があると(しん)じられていたのです。
 (うえ)篆文(てんぶん)をみてください。「楽」は鈴を(かか)げて振るかたちを(あらわ)しています。その「楽」に草かんむりをつけた「薬」は。文字(どお)(やまい)を治す「くすり」を意味(いみ)しました。また、「病()を治す草」という意味もあります。「薬局(やっきょく)」「(やく)品」「薬(そう)」「()薬」などと使(つか)います。
(産経国際書会常務理事、山本晴城)

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