子供が水に流された...「流」

　今年(ことし)の新語(しんご)・流行語大賞(りゅうこうごたいしょう)が「ONE TEAM（ワンチーム）」に決定(けってい)。早(はや)いもので、街(まち)には流麗(れい)な電飾(でんしょく)が目立(めだ)ち、クリスマスソングも流(なが)れるようになったね。
　そこで「流」を見(み)てみよう。元(もと)の字(じ)は、左(ひだり)の金文(きんぶん)では、「水(みず)」（）と、「」（）の組(く)み合わせ。は頭髪(とうはつ)の乱(みだ)れた子(こ)をさかさまにし、水に流されている形(かたち)でちょっと怖(こわ)い字だね。古代(こだい)には洪水(こうずい)で川(かわ)が氾濫(はんらん)し、人(ひと)が大勢(おおぜい)流されたんだ。そこから、「ながれる」「ながす」の意味(いみ)になった。逆(ぎゃく)に、水中(すいちゅう)に没(ぼっ)した子供(ども)を上からつかまえて救(すく)おうという形が「浮(ふ)」という字なんだ。
　水だけでなく、ものの流れ（流通(つう)、電(でん)流）や、分(わ)かれること（分(ぶん)流、流派(は)）、やり方(かた)（流儀(ぎ)、一(いち)流）の意味でも使(つか)われる。来年(らいねん)は五輪(ごりん)期間中(きかんちゅう)、外国人の方と漢字文化(かんじぶんか)の交(こう)流をして、自己(じこ)流でも風(ふう)流な字だねって言(い)わせたいね。
（産経国際書会副理事長、勝田晃拓）