産経国際書会

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芸術とは無関係…「芸」

 今回こんかいは「げい」についてかんがええました。

 芸は略字りゃくじで、旧字きゅうじげい本字ほんじは「げい」です。

 わたしたちがいている常用漢字じょうようかんじの芸は、「げい」の部分ぶぶん省略しょうりゃくしていますが、最古さいこの漢字字典じてんでは、芸は虫除むしよよう薬草やくそうで「芸(うん)」とみ、芸術げいじゅつ意味いみとは無関係むかんけいです。

 日本最初にほんさいしょ図書館としょかん「芸亭(うんてい)」(奈良時代ならじだい石上宅嗣いそのかみのやかつぐ建立こんりゅう)は、薬草本来ほんらい意味いみ由来ゆらいし、平城京へいじょうきょうあと顕彰碑けんしょうひっています。漢字が日本にほんはいった当時とうじは、本来の意味がきていたことがうかがえます。

 藝の甲骨文こうこつぶんは、若木わかぎ)を、ひざまずいてささげるかたち)、金文きんぶんではへんつち)がつき、草木くさきえる意味がくわわっています。

 古代こだい、木を植えるのは、神事的しんじてき政治せいじ的な意味があり、のちには種藝しゅげい(草木や作物さくもつの植えけ)の意味が加わり、さらに若木をそだてるように才能さいのうを育て、わざ・技法ぎほうという意味にひろがっていきました。

(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)