産経国際書会

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人が二つの意味…「肉」

 わたしたちが生きていく上で重要じゅうよう栄養源えいようげんのひとつ、「肉」。今回は「肉」という字についてお話しましょう。

 最古の漢字である甲骨こうこつ文字に「肉」という字が存在そんざいします。切りはなされた獣肉じゅうにくとそのすじを形に表した象形しょうけい文字です。楷書かいしょでは「冂」の中に「人」が二つはいっていますが、これは「人」という意味ではなく、肉の筋を表しています。

 甲骨文字から進化した篆書てんしょでは「月」という字にた形になります。「こし」や「むね」など身体の一部分の名称めいしょうは、「にくづき」といって「肉」という字が変化へんかしたものです。

 では、身体に関係かんけいのない「明」や「朝」はどうでしょうか。「明」は夜空にのぼる「月」を表し、「朝」は「ふね」が進化したものになります。ですから「朝」の右の部分を「ふなづき」などといって区別くべつしています。ちょっとややこしいですね。

(産経国際書会常務理事、町山一祥)