2020年1月12日
人の首を強調した形...「元」
「お元気ですか?」は日常の挨拶言葉です。「元」は、甲骨文では「」(人の首を強調した形)と「」(人の側身形)で、首の意味を示す文字です。「元」のつく言葉は、「おおもと」「はじめ」の意味では、「元祖」「元素」「元日」「元気」があり、「かしら」の意味では「元首」「元服」「家元」のほか、令和などの「元号」が当たります。「乾坤一擲」(天地をかけて一か八かの勝負をする)という言葉があります。宇宙の事象を陰と陽に二分して考える「易」では、「乾」は3つの要素がすべて「陽」の卦のことで天を示し、雨を降らせ地を潤す元の気(乾元)があり、「坤」はすべて「陰」で地を示し、万物を生育させる元の気(坤元)があるとされました。両極端を投げうつ(一擲)から、「一か八かの勝負」となったわけです。
「お元気ですか?」とは、こうした「元の気」が、人間の体という小宇宙の中をきちんと流れていますか?という意味があるのです。
皆さんが、今年も「元気」で過ごせますように。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)
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