2020年3月22日
鈴を鳴らして楽しませる「楽」
神社で参拝する時、鈴を鳴らします。鈴は、神と人が音でつながっているという古代からの考えがあるようです。その鈴の重要な意味を持つ字が「樂」です。楽(樂)は、金文をみるとが鈴、左右の(幺=よう)は糸飾り、は鈴のついた持ち手を振る巫女の姿を表し、樂とは鈴を表します。
鈴や鐘の金声(金属から出る音)は、神霊を呼ぶため、特に尊ばれ、神霊を楽しませるための踊りには鈴の楽器「樂」が使われました。
樂には、邪霊を祓う力があると考えられていて、病気を治すための巫女のお祓いは医者の役目も兼ねていたようです。そのことからか、治療の療は「」が本字で、治と書かれていましたが、今は使われていません。
薬は、 (くさかんむり)がくすりになる草(薬草)を表し、やがて「くすり」の意味になりました。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)
前の記事 : 月があるのに太陽が...「朝」
次の記事 : 芸術とは無関係...「芸」