2020年4月 5日
芸術とは無関係...「芸」
今回は「芸」について考えました。芸は略字で、旧字は藝、本字はです。
私たちが書いている常用漢字の芸は、「埶」の部分を省略していますが、最古の漢字字典では、芸は虫除け用の薬草で「芸(うん)」と読み、芸術の意味とは無関係です。
日本最初の図書館「芸亭(うんてい)」(奈良時代に石上宅嗣が建立)は、薬草本来の意味に由来し、平城京跡に顕彰碑が立っています。漢字が日本に入った当時は、本来の意味が生きていたことがうかがえます。
藝の甲骨文は、若木()を、ひざまずいて捧げる形()、金文では偏に(木と土)がつき、草木を植える意味が加わっています。
古代、木を植えるのは、神事的・政治的な意味があり、のちには種藝(草木や作物の植え付け)の意味が加わり、さらに若木を育てるように才能を育て、わざ・技法という意味に広がっていきました。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)
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