2020年6月21日
実をつける前の美しい花の姿「秀」
かの有名な論語は、孔子と弟子たちの言行録を集めたものですが、巻五子罕(しかん)に、「苗にして秀でざる(苗になっても花が咲かない)者あり、秀でて実らざる(花が咲いても実らない)者あり」と著しています。今回は、「秀」について考えます。秀は、稲穂が垂れた形「禾(か)」と、花が咲いて雄しべと雌しべが垂れた形「乃 」をした象形文字です。実をつける前の美しい花の姿が「秀」となりました。
秀才、秀色(絶景)、秀麗(ずば抜けた美しさ)、秀朗(才能すぐれ人柄よい)、秀逸(特にすぐれる)―などと使われます。
実る前の花が美しい「秀」から、穂がよく実った「穆(ぼく)」、実が落ちて殻になった「禿(とく)」は、禾(いね)の生長の三段階を表す文字です。
書人(書家)の筆には、穂先のすり切れた禿筆がたくさんありますよね?!
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)
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