2020年7月 5日

人が二つの意味...「肉」

20200703_kanji_01.png  (わたし)たちが生きていく上で重要(じゅうよう)栄養源(えいようげん)のひとつ、「肉」。今回は「肉」という字についてお話しましょう。
 最古の漢字である甲骨(こうこつ)文字に「肉」という字が存在(そんざい)します。切り(はな)された獣肉(じゅうにく)とその(すじ)を形に表した象形(しょうけい)文字です。楷書(かいしょ)では「冂」の中に「人」が二つはいっていますが、これは「人」という意味ではなく、肉の筋を表しています。
 甲骨文字から進化した篆書(てんしょ)では「月」という字に()た形になります。「(こし)」や「(むね)」など身体の一部分の名称(めいしょう)は、「にくづき」といって「肉」という字が変化(へんか)したものです。
 では、身体に関係(かんけい)のない「明」や「朝」はどうでしょうか。「明」は夜空に(のぼ)る「月」を表し、「朝」は「(ふね)」が進化したものになります。ですから「朝」の右の部分を「ふなづき」などといって区別(くべつ)しています。ちょっとややこしいですね。
(産経国際書会常務理事、町山一祥)

20200703_kanji_02_2.png