2020年7月12日
手を広げがっちりつかむ...「採」
小学校5年生で習う漢字の中に「採」という字があります。「扌」と「采」からなっていますが、「采(さい)」という字が元になって草書が完成したころに「扌」を加えて作られた字です。ですから、「採」には篆書がありません。
元となった「采」を詳しくみてみましょう。「爪」と「木」からなっています。「爪」は、クレーンゲームのように上から手を広げて、物をつかもうとする形です。甲骨文字では上から手を広げて、草や木の実などを摘み取っているのがわかります。その後「扌」が加えられ、この字はさらに進化し、単に「取る」とか「取り上げる」という意味で使われ、「租税を採る」、「採決する」、「採血する」などと幅広い使い方がされるようになりました。
(産経国際書会常務理事、町山一祥)
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