2020年12月 6日

昇るだけではだめ?「堂」

150_text_02.png  「堂(どう)」は、土と尚(しょう)からできている文字です。土を()った質素(しっそ)な家、そこから転じて立派(りっぱ)建物(たてもの)のことを「堂」と言います。のちには、「殿(でん)」とも()ばれました。
 尚は八(分かれる)と、向(きょう)という換気(かんき)や明り取りの高いところに作られる(まど)の意味があります。
 堂は公的な場所で役人の仕事場、またはお客様をもてなす場所となっていきました。私的な場所として「室」があります。
 論語(ろんご)にある、「堂ニ(のぼ)(しつ)ニ入ラズ」は、建物には登ったがその(おく)にある部屋にはまだ入っていない。つまり、学問や技芸(ぎげい)が進んでも、最高の境地(きょうち)に入っていないことを説明(せつめい)しています。
 物事を(きわ)めた人が入るところが「殿堂」というのもわかりますね。
(産経国際書会副理事長 高橋照弘)

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