2020年12月27日

羊は安産の象徴「達」

20201227_kanji_01.png  郵便(ゆうびん)宅配(たくはい)便など、配(たつ)の人が大(いそが)しになる歳末(さいまつ)。そこで、「達」について考えてみました。
 達は、「土(大)」「羊」「辶」から成ります。羊の体を正面から見た姿(すがた)を表す「羊」と、()羊の腰を表す「大」を組み合わせて「美」ができましたが、「羍(タツ)」は、母羊の後ろを見て腰(大)から子羊が(すべ)り出るように誕生(たんじょう)する様子を表しています。さらに、「辶」が(なめ)らかに(いきお)いよく生まれることを強調しているのです。
 詩経(しきょう)(中国最古の詩編)には、「()ず生まるること達の(ごと)し」とあり、羊が子を生むように安産である様子を(しる)し、そこから「とおる」「つらぬく」といった意味になり、「達(かん)」(見通す)、「達意」(意図を十分に(とど)かせる)、物事や論理(ろんり)に通じた人を「達者」や「達人」と言ったりするようになりました。
 羊には()れを成す習性がありますが、「君」(天子、王など)に数多く集まることを「群」というのもわかりますね。
(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)

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