産経国際書会

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そのルーツは酒樽?…「医」

 コロナウイルスが蔓延まんえんして2年。今も大きな負担ふたんを強いられる医療従事いりょうじゅう者の方々に頭が下がります。そこで、今回は「医」について考えました。

 私たちがじょう用漢字で用いる医の旧字は「醫」で、 (えい)と酉(ゆう)の、2つ以上の文字を組み合わせて文字をつくる会意文字です。

 古代、病気は悪霊あくりょう仕業しわざと思われていて、病をなおすのは巫(みこ)=巫医(ふい)→ (い)=の役目でした。かくれた所「匸」(けい)にかれた呪矢(じゅし)=  に向かって、つえくらいの長さのほこを持ち大声をかける様「」、悪霊を祓(はら)って病を追い出し、病気が治るとされていました。

 きず口をきよめるため酒が使われ、酒が薬の補助ほじょとなると、「」は巫が酒樽さかだるを表す「」と変わり、「醫」という文字ができました。

 私たちは、医を「醫」の略字としていますが、兵器へいきとしての矢を「匸(はこ)」におさめている形の医とは、元々ことなる字である、とされています。

 コロナが早く去ることを祈っています。

(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)