2021年4月 4日
矢が当たって受けた傷「疾」
世界中が新型コロナウィルスに苦しめられて1年以上がたちました。病への恐怖が消えない日々がずっと続いていますね。今回は、病気を意味する「疾(しつ)」を取り上げます。「疒」と「矢」から作られている文字ですが、音読みでは「シツ」、訓読みでは「やまい」となります。「疾苦」は悩み苦しむこと、「疾風」は速く吹く風。「疾言」はあわただしく言うこと、早口ですね。「疾病」は病気のことですね。
「疾」の語源をたどってみましょう。金文は、人間の大人が矢を射られた形を表しています。見るからに痛そうに見えませんか。矢に当たると激しく痛みに苦しみ、「牀(しょう)= 寝台」に横たわります。
後に「大」を取り除き、「 (だく)」を用いて「疾」としました。矢の傷から病気を表す文字となっていきました。
(産経国際書会副理事長 髙橋照弘)
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