2021年4月25日
去年に勝る豊作ねがう「勝」
「勝ちました!」。オリンピックで日本選手がついに優勝、金メダル―。夏のオリンピック出場をかけた競技が開かれていますね。そこで今回は「勝」を取り上げます。元の字は「」と作り、「」の元は「(よう)」という形。左側の「月」はここでは空の月や、肉月ではなく「舟」(盤)を指し、中に物を入れ両手で捧げて、人に送ることを示しているんだ。金文を見るとよく分かるね。
「」の下の「カ」は、前回の「勉」と同じ耒(すき)の形で、耒に盤中の物を添えて豊作を祈り、良い結果を得るという意味。
「まさる」「かつ」「すぐれる」と使われ、元の字を「勝」とした。(景勝、名勝、勝敗、勝算)や(勝気、男勝り、身勝手)などの用例もある。
専門的には貝(貨幣)を贈ることを「 (ヨウ)」、嫁入りのお供の女を「(ヨウ)」、文書の正本に対する副本(写し)が「謄(トウ)」となるんだ。
「世の中は優勝劣敗が常だけど、負けるが勝ちの時もある」。これ分かるかな。
(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)
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