2021年7月18日
麻の茎が元の意味...「蒸」
今年の梅雨入りはとても早かった。長雨は、特に蒸し暑さがつらいよねー。そこで今回は「蒸」だよ。順を追って説明するね。まずは「丞」から。左上の金文で見る と、深い穴に落ちた人を左右の手で引き上げてすくう形だね。次に「烝」は蒸気が立ち上る様子を表しているよ。更に「蒸」は「艹(くさかんむり)」と音を表す「烝」を合わせた字で、元々は植物の麻の茎を表したんだ。
麻の茎の皮部分を剥ぎ取って、麻糸にする。その茎の芯を「おがら」といって、束ねて 炬火(たいまつ)や燭(ともしび)に用いたよ。皮を剥ぎ取るのに蒸気を使って蒸すことから、「烝」(熱気がこもる)と同じ意味の(むす)になったんだ。その後(むし、あつい、おおい)と展開していったよ。蒸暑、蒸し器、アサリの酒蒸し、水蒸気、蒸留...などと使うね。蒸民は多くの人々のこと。
ところで最近あの人見かけないけど、まさか蒸発しちゃったんじゃない? なんて言い方もあるね(笑)。
(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)
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