2021年8月 1日
そのルーツは酒樽?...「医」
コロナウイルスが蔓延して2年。今も大きな負担を強いられる医療従事者の方々に頭が下がります。そこで、今回は「医」について考えました。私たちが常用漢字で用いる医の旧字は「醫」で、 (えい)と酉(ゆう)の、2つ以上の文字を組み合わせて文字をつくる会意文字です。
古代、病気は悪霊の仕業と思われていて、病を治すのは巫(みこ)=巫医(ふい)→ (い)=の役目でした。隠れた所「匸」(けい)に置かれた呪矢(じゅし)= に向かって、杖くらいの長さの矛を持ち大声をかける様「」、悪霊を祓(はら)って病を追い出し、病気が治るとされていました。
傷口を清めるため酒が使われ、酒が薬の補助となると、「」は巫が酒樽を表す「」と変わり、「醫」という文字ができました。
私たちは、医を「醫」の略字としていますが、兵器としての矢を「匸(はこ)」に納めている形の医とは、元々異なる字である、とされています。
コロナが早く去ることを祈っています。
(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)
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