2021年11月14日
善・悪両方の意味に通用する文字「癒」
病に関する文字には「」(やまいだれ)がつきますが、進行している病は疾病、快方に向かい、治るのを治癒といいます。癒は教育漢字にはなく常用漢字に該当します。
「」()と「」で「癒」ですが、「」のもとの字は兪で、患部を切除する長い針()で とった膿を皿(盤・)に移すことを表している字です。その行為により、痛みや苦しみから解放され心が安らぐことから、癒やす、癒やされるとなりました。
体内の病の一部がそばの部分とくっついてしまうことを癒着といいます。
また、政治経済の世界でも、私利私欲のため悪い関係をもつことを癒着といい、今では「癒」は善・悪両方の意味に通用される文字と言えそうです。
(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)
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