2023年5月28日

多くの口(サイ)を木に結び付け手で「操」る  口三つ 神が天から「臨」み見る

20230525_kanji01.png  前回に続いて、口を持つ漢字を取り上げます。()は「操」。扌(手)・品・木から成り立ち、多くの20230517_kanji03.png(口・祈りの器)を付けた木を手で持って願いが(かな)うよう祈る形だよ。(しっか)り持って(あやつ)るので、(もつ・とる・あやつる)の意味になるよ。「操作・操縦(そうじゅう)・操業」と使うね。訓読みでは(みさお)と読み、一心に祈ることを指し「情操・節操」と用いる。
 次の「臨」の金文「20230525_kanji03.png」は臥・品の組み合わせで、「臥」は人が(うつむ)いて(20230525_kanji04.png)、大きな目(臣)で下方を見る形だね。「品」は20230517_kanji03.pngを並べた形。古代人は祈りを(ささ)げる様子を神様が見下ろすと考えた。それで(のぞむ・見下ろす)の意味で「臨海・君臨(くんりん)臨床(りんしょう)」と使うよ。出産間近な「臨月(りんげつ)」にも、祈りの形が入っているんだね。
(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)

20230525_kanji02.png