2024年3月10日
都の周辺で外敵を窺う「候」
まもなく春本番。今回は手紙で「陽春の候」などと季節の挨拶に使う「候」を見ていきます。
この字の構成は複雑なので、まず「丨」のない「侯」から。
元字の「」は「厂」(屋根のひさしの形)と「矢」を合わせたもの。屋根の下に矢を放ち、家の邪気を祓う儀式を示します。
次に屋根の上で邪気を祓う形を示す「矦」となり、儀式に付き従う「人」も加えて「侯」に。「侯」は都の周辺で外敵の様子を窺い、都を守る者を意味し「諸侯」の言葉ができました。
さらに「侯」が身分のある人(侯爵)に使われました。そこで「侯」に「丨」を加え、王の側に控える・窺うの意味となりました。つまり季節の様子を窺う意味で「気候」「時候」と使うのです。
(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)
前の記事 : 亀の甲羅で占ったひび割れの線が「兆」
次の記事 : 棒を手で引き合う形「争」