2024年7月 7日
古代文字でわかる違い「己」
形の紛らわしい漢字で、「己」(おのれ)、「已」(すでに)、「巳」(み)はその代表格です。古代文字で成り立ちを見てみましょう。
「己」は「」が始まり。直角に曲がった定規や糸巻きの象形です。ちなみに「己」に「糸」が結びついた「紀」は、「糸を巻き取る」「おさめる」の意に。さらに「正しく記す」「秩序」「基準」といった意味合いも出て、「紀行」「紀律」「紀元」の言葉ができました。
一方、「已」の字源は農具の耜(鋤)を表す「」です。後に字形が「已」「以」「ム」とそれぞれ別の字に分化する過程で、「已」の語義は鋤とは関係のない「やむ・すでに・はなはだ」を意味するようになりました。また、「巳」はもともと蛇の形「」で、十二支の6番目「蛇」を指します。
それぞれ筆画の微妙な接し方に注意しましょう。
(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)
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