2024年12月23日
細い木の先端に獣毛をくくりつけ「筆」に
年末年始は年賀状や書き初めなどで筆を使う機会が多い時期です。そこで今回は「筆」の文字の意味と歴史を追ってみました。
最も古い文字である甲骨文(紀元前 13世紀ごろ)に「筆」を示す字が使われています。
その文字を詳しくみると、①「毛をつけた木か竹」を②「手で持っている」形をしています。現在のような「たけかんむり」はありませんでした。時代が下り、軸に竹が多く使われるようになると、中国・秦代の小篆(楷書の原形)では「たけかんむり」を付けた現在の形になり、「筆を使って書く」という意味で使われるようになりました。
現存する最も古い筆は、中国・戦国時代の楚の遺跡から発掘された長沙筆と呼ばれるものです。それは細い木の先端を裂いて、獣毛を束ねてくくり付けたものでした。
また、甲骨文の発生以前、器の内側に筆で人の顔の文様を彩色した土器が出土しています。中国では文字発生以前から絵などを描くために、筆が用いられていたことが明らかになっています。
(産経国際書会副理事長 町山一祥)
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