2025年2月 3日

言葉を上手にあまねく伝える「調」

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 東京・国立新美術館で3日まで開催中の第41回産経国際書展新春展で、私は作品のレイアウトを担当しました。作業で大事にしたのが館内全体との「調和」です。今回は「調(ちょう)を選びました。
 字形は、(ごんべん)と「(しゅう)」から成ります。「言」は言葉でメッセージを伝えることを意味します。一方、「周」の字は成り立ちに諸説がありますが、その一つが四角い盾の表面を彫刻で広く装飾した様子の象形というものです。「土」は彫刻の模様、「口」は祈りの言葉を入れる器。「広く全体に行き渡る」の意につながりました。
 「周」に「言」が加わると、「言葉を上手にあまねく伝える」が意味のベースになりました。「整う」「つり合う」「調べる」などの意味が出て、「調整」「調査」「調律」などと使われています。

(産経国際書会副理事長 山本晴城)