2011年12月16日
[38]産経国際書会審査会員 藤村満恵(ふじむら・みつえ)さん(58)
世木田江山(せきた・こうざん)氏の指導のもと、いずれも墨象作品での受賞で、国際大賞受賞作のタイトルは「刻(とき)」。「四方八方に広がる線の先にはそれぞれの人生の刻(とき)がある」というイメージだ。
前衛書家には絵画をよくする作家が多いが、例に漏れず美術短大で洋画を専攻した。もっとも、書道の方は6歳から途切れることなく続けてきており、書の基本である「線」には「強くこだわってきたつもり」と言う。
自分の書に自信を持ったのは、平成10年の「第5回公募 広島の美術」(広島市現代美術館主催)からだ。今は亡き師で、前衛書家の竹澤丹一(たんいち)氏に内緒で初めて出品した作品がいきなり佳作を受賞。「竹澤先生が喜んでくれたのが何よりうれしかった」と涙ぐむ。
赤いビニールに白いペンキで「無限」という文字をデザインした現代アートの作品だった。これからも「書のもつ無限の可能性を追求していきたい」と意欲をみせる。(松本篤幸)