2012年6月 7日

[43]産経国際書会専管理事・鎌田悠紀子さん(67)

運
言霊の表現者でありたい
鎌田悠紀子
まず、紙上に筆先を置く。そこから空間をどう捉えるか。次の瞬間、自然と筆は動く。鎌田の書作法だ。ときには、緊張のなか、ふっと"降りてくるもの"がある。それに書かせてもらうこともある。

小さい頃から音楽やオペラに親しんできた。高校2年生のときに出品した東京都の書道展で銀賞を受賞。以来、書の虜(とりこ)になる。

書道には、目を肥やす目習い、実際に書を書く手習いの両輪が大切だ。だが、目習いができないと書の上達はない。手習いのできない時期も背中に子をおぶっては良い書展を探し求めた。

欠かさず続けてきた目習いが自分を気づかせる。自分の書に納得できなかった。気づいたら、「もう休めない」とひたすら書を書き続けていた。

いま、書はインスピレーションと思う。メッセージ性の高い書は、鎌田の中から迸(ほとばしり)出るパッションなのか。「言葉には言霊(ことだま)があり、書には魂がある。だから借り物はいや。自分の気持ちに正直に全身全霊を込めて書きたい」(柏崎幸三)