2012年6月25日
[44]産経国際書会名誉顧問・三宅剣龍(みやけ・けんりゅう)さん(95)
1日でも長く書を書き続けたい
現役書家では最高齢だろう。細い体躯から繰り出す書は熱い。第28回産経国際書展出品作「立身貞」。中国後漢の女流詩家、王炎の詩だ。一画一画を離し、書筆というよりは絵筆のような筆致だ。「2~3枚で書いてしまいましたわ」と笑う。
書を始めたのは小学校入学の大正12(1923)年。幼少から字はうまく、小学4年生でガリ版刷りの代筆をした。兵庫県師範学校(現神戸大学発達科学部)を卒業し、小学校教諭をしていたが、文部省(当時)の書家養成講座を受講し、書家の道に。
これまで国内のみならず、米国、中国、メキシコなどでも書を披露し、書の海外交流にも務めた。昨年11月、母校の兵庫県篠山市立岡野小学校の創立120周年記念式典で「日本は世界の日本。心をしっかり持ち、どうか日本一の大人になって」と激励した。
「私みたいに面白い人生を送った人はいない」が口癖。産経国際書会設立時のメンバーで、「産経(国際書会)はいい。うまい人もへたな人もおる、玉石混交で社会と同じだ」。願いは、1日でも長く生きること。書を通じた社会貢献を続けたいからだ。(柏崎幸三)