2012年10月12日
[48]産経国際書会名誉顧問・佐々木月花さん(92)

亡夫・泰南に学んだ「呼吸」

泰南は、同じことを月花にも命じた。だが、何度挑戦しても果たせない。小学生のころから好きだった書は一気に苦痛に変わった。
弟子に手本を書いた泰南だったが、月花には渡さなかった。だが体で覚えるしかなかった。泰南の手、足、そして体全体の動き。さらには「呼吸」。それらのすべてが手本そのものだった。この教えは、一番大切な書を大きく捉えることに通じた。
この「呼吸」が、後に生きる。書家として、壁にぶち当たり、壁を越えるのに必要な「呼吸」。書家として独立できたのもこれを学んでいたからだった。書を続けて70有余年。泰南に学んだ「呼吸」でいまも毎日3時間書く。(柏崎幸三)
前の記事 : [47]産経国際書会参与・岡美知子さん
次の記事 : [49]産経国際書会常任顧問 永田龍王さん(84)