2013年11月18日

[60]白崎菖汀(しらさき・しようてい)(78)産経国際書会 常務理事 白苑会主宰

中臣宅守(なかとみのやかもり)の和歌
人との出会いが書のスタイル
白崎菖汀(しらさき・しようてい)さん
第30回記念産経国際書展で韓国文化院長賞に輝いた。
「旅にして妹に恋ふれば 霍公鳥(ほととぎす) わが住む里に此よ鳴き渡る」

万葉集の和歌を書いた大字仮名の作品である。
故石川蒼丘(そうきゅう)に33歳で師事。ここまでやってこられたのは、すべて師のお陰」と感謝を忘れない。師は、仮名作家でありながら漢字の臨書もよく指導した。漢字では、とくに中国・清朝期の能書家である何紹基(か・しょうき)を好んだという。「線の中に線がある」と師が評したように、何紹基の字の強弱のつけ方や太い線と細い線のバランスは、仮名作品でも使える重要な要素があるらしい。

また、仮名作品では源氏物語でも既に使われている、行と行が重なる「ちらし」の手法が好きで、新作のたびに、どうアレンジするかを楽しむ。

かつては師の方針で、前衛書や漢字系の公募展にも多く出品した。いまは、産経展のほかは、仮名系の団体と郷里の山形県の書道家の競書雑誌を続けているくらいと笑う。さまざまな書道を探求し、多くの人と付き合うことが、白崎の書のスタイルであることは間違いない。(松本篤幸)