2015年3月13日
[75]理事 洸風会副会長 峰雪書院主宰 高橋峰雪さん(76)
115年のともしび絶やさず
学生時代から「いけばな」を習っており名取にまでなっていたが、お稽古で床の間に掛けられていた掛け軸の見事な「書」に魅せられ、30代で書道の世界に入った。楷書は最初の師である五十嵐越山氏から、古典は越山氏が亡くなってからついた田仲沈流氏から、作品作りは柴田侑堂氏から学んだ。三人の師が審査員を務め、手本も書いていたのが書道奨励協会の発行する競書誌の「筆之友」。明治33(西暦1900年)年の創刊である。近代書道の父といわれる日下部鳴鶴をはじめ、小野鵞堂や西川春洞といった書道史に燦然と輝く書道家も参加した、日本で最初に発刊された競書誌だ。
今日では何百もあるといわれる競書誌だが、書道人口の減少などで、発行の継続はどこも厳しいのが現状。「筆之友」誌も、先代の発行人だった田仲正見氏が平成23年に急死した際は、廃刊もささやかれた。「115年の燈火を絶やさしてなるものか」と高橋さんは編集長を引き受け4年目になる。刷り上がったばかりの3月号は記念すべき発刊1300号。「一人でも多くの弟子を育てなくては」と熱情は続く。