2015年5月 5日

[76]清真会理事長 日中友好自詠詩書交流会最高顧問 唐松格堂さん(84)

魂込めて自詠自書貫く

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作品 懐少時垂綸(縦240㌢横60㌢)

自詠自書。自詠詩書ともいわれ、自作の詩を書作品にすることを指す。師である金子清超が標榜(ひょうぼう)した概念である。漢文学者であり、二松学舎大学の教授であった清超は西川寧らとともに昭和8年に創設した謙慎書道会の創立役員5人に名を連ねる巨匠。

 書道界の慣習や体質になじめず、中央の書道界から身を引いて昭和27年に創設したのが、現在唐松さんが理事長を務める清真会だ。

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 地味ではあるが本来の書作はこうあるべきと賛同し、22歳の学生であった当時、同会の第1回書道展に自詠の大作を出品したと懐かしむ。以後、自らの作品は他の展覧会も含めてそのすべてが自詠自書である。

 一字一字に意味のある漢字は、短い文で志(こころざし)を描出できるので、昔の多くの学者や偉人は漢文や漢詩に堪能だったという。自作の詩だからこそ、書作品に魂が入る。勢いで書作に入るから、一度書きで作品を仕上げることが多く、同じ詩を2度作品にすることはないとも。だから書展では、誤字・脱字にすぐに気付いてしまうと笑う。
 
 傘寿を過ぎた今では後進に道を譲りつつ、と言いながらも、書作と指導はまだまだ力強く、身のこなしも軽やかである。