2015年6月26日

[78]理事・斯華会運営委員 加藤芳珠さん(79)

紀貫之の和歌『白雪の降りしく時は・・・』
鵞堂流の本質追い求め
加藤芳珠さん
「しなやかなで美しい線の中にも凛とした強いものを感じました」。明治大正期の仮名書道の大家である小野鵞堂の書に惹かれて、当時、四男で二代目の小野成鵞氏が会長であった斯華会に入門した。漢字と仮名を交え、読める書でありつつ優美さを備えた鵞堂の書風は「鵞堂流」と称され、多くの書道家や団体に影響を与えて今日に至っている。

仮名とともに研究したのが漢字の中国書法だった。王羲之をはじめとする古典の臨書に没頭したこともあった。特に唐代の顔真卿の行書には、中国書法にも精通していた鵞堂の足跡を感じ取ったという。漢字の創作作品は、三代目会長の之鵞氏に褒められたこともあって、展覧会に出品を続けた時期もあったが、最近では本来の仮名作品に回帰してきた。             

芳珠の雅号をもらってちょうど40年。産経国際書展では会を代表して審査員を長く務めている。思いは変わらず、これからも感性の赴くままに、鵞堂流の本質を極めた書を追い求めたいと力強く語った。

第86回斯華会書道展は、6月30日から7月5日まで東京銀座画廊で開催される。
(松本篤幸)