2016年3月25日
[87]理事・雅遊会理事長 斎藤秀翠さん(72)
自分の字を極めたい
今年1月の第30回産経国際書展代表展に出品したのは中国古典の「菜根譚(さいこんたん)」の一節を書き上げたもの。二八(にはち)の紙2枚を使った味わいのある隷書の大作である。埼玉県の熊谷で材木商を営んでいた40歳頃より、取引先の社長でもあった新井大巌氏に師事。事務所に飾られていた書道作品に魅せられたのがきっかけであった。
古典をアレンジして独自の隷書の世界をもつ大巌氏に心服し、師に従って産経国際書展、瑞雲書道展、競書誌の「筆乃友」、そして理事長にこのほど就任した雅遊会書展などに参加してきた。
雅遊会は、ともに隷書を得意とし、明治・大正時代に活躍した近藤雪竹(せつちく)から、戦後の書道復興に尽力した田中真州と、書道の大家に継がれた漢詩の研究会の流れであり、由緒ある歴史を誇る。前会長は師の大巌氏、現会長は産経名誉顧問の山下海堂氏で61回となる展覧会が東京・有楽町の交通会館で終わったばかりだ。
師にはかなわないと謙遜しつつも、「これまで学んできたことを少しずつ出しながら『自分の字』を極めたい」と、集大成を目指した書作が続く。(松本篤幸)