2016年5月13日

[89]専管理事・緑山書道会主宰 北野香春さん

北野香春さん
教えることに喜び
北野香春さん
 書家への道に進んだのは、当時住んでいた埼玉県の川越市で、五十嵐越山氏に師事したのが始まり。今でも産経国際書展では同門だった書家がいる。

 すでに80代の高齢であった師が没してからは、競書誌「筆之友」で越山氏とともに審査員だった十鳥霊石氏を頼って東京まで通い、書を続けた。当時は産経国際書展の黎明期であり、創設メンバーの一人でもあった十鳥氏は、他にも東方書道院や官公書道連盟など、幅広い展覧会活動をしていた。北野さんは勧められるままに多くの展覧会に参加するようになり、産経展には2回展から出品を続けている。

 ここ最近までは、中央大学書道會で4年半ほどにわたって講師を務めた。書の技法や書論を教えつつも共に学習し、教えることに喜びを感じたという。学生たちの共感を得て当初15人程度だった会員が70人にまで増えた。熱心な学生は、卒業後も北野さんの教室に通っている。十鳥氏の「師の真似でなく自分の字」、さらに「品格のある字を書くように」との言葉がよみがえり、書道のすばらしさが若い世代に引き継がれて行くことを願ってやまない。(松本篤幸)