2016年6月17日

[90]副理事長・景雲社理事長 勝田晃拓さん(59)

32回産経国際書展出品作品 金文「窮鼠猫を噛む」
古代文字に現代感覚を
勝田晃拓さん
 父親の景泉氏が地元の静岡県磐田市で立ち上げた景雲社を20代の頃から手伝い、産経国際書展には5回展から出品を始めた。

 40代で景雲社を引き継いで理事長に就任、書道に専念すべく務めていた信用金庫も退職した。景泉氏の勧めで、埼玉の書道家から指導を受けたのもこの頃のこと。実はそれよりも前には、父の景泉氏も書技を高めるため、書を教える傍らで関西の署名書家のもとに通っていたという。

 金文、篆書、六朝楷書などの古代文字に魅せられ、特に金文の作品を発表するようになったのは7年ほど前からだ。これらは複雑な線の集合であり、「自己流なので下調べが大変」と苦労を語る一方、「文字学に精通するが楽しい」と顔をほころばせる。書道を志す人にとっての行書や草書を書く前にマスターしておきたい筆使いの基本も、古代文字の学習の中にあるという。

 現代感覚をいかに古代文字の中に取り込めるかが重要なテーマ。自身は発展途上と謙遜するが、指導者としても、「墨の香りと筆の感触から得られる快感を多くの人に伝えていきたい」と力を込める。(松本篤幸)