2016年7月 8日
[91]常務理事 同巧会常任理事 磯邊哲舟さん(71)
「用筆」の研究に打ち込む
静岡県御殿場市役所に奉職した19歳から地元の書家について本格的に書を始めた。長く学んでいた競書誌が廃刊となり、同誌の顧問をしていた故・藤本竹香氏が同巧会の創設者でもあったのが縁で、同巧会にも参加し、現在に至る。同巧会は主に公務員が集って発足した書道研究会。年1回、箱根で秋に行われる2泊3日の練成会では、毎回違うテーマを掲げて、主に古典を実践するとともに、ときには活発な議論を戦わす文字通りの「研究会」となる。
現会長の青陽如雲氏との出会いは20年近く前に遡(さかのぼ)るが、大きな転機になったという。特に青陽氏の勧めで打ち込んだ「用筆」の研究は、大きく書への考え方を変えた。
手本や法帖(ほうじょう)の文字をただ真似ても、上達はないことを教わった。墨をつけた幅のある穂の先や腹、あるいは全体で文字を書く毛筆は、ボールペンや鉛筆とは違って奥行きのある変化を生む。重要なのは手の動き、筆の運びであり、古典に秘められた魅力は多大という。
「教えられるようになった」と自負しつつ、"すごい技術"が世に残らないことを危惧し、「学んだことは全て伝えたい」と熱く語った。(松本篤幸)
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